ポートランドベース

ジョサイア・ウェッジウッドの重要な功績のひとつであるポートランドベースは、創業者の粘り強さと忍耐、そして探究心を示す証です。

ポートランドベース

ジョサイア・ウェッジウッドの重要な功績のひとつであるポートランドベースは、創業者の粘り強さと忍耐、そして探究心を示す証です。

ポートランドベース

ジョサイア・ウェッジウッドの重要な功績のひとつであるポートランドベースは、創業者の粘り強さと忍耐、そして探究心を示す証です。

私の最高傑作は《ポートランドベース》です。

ジョサイア・ウェッジウッドは、かつて名門バルベリーニ家が所有していたことからその名が付いた《バルベリーニの壺》に心を奪われました。彼はその美しさを再現するために試行錯誤を重ね、紀元前1世紀に作られたカメオガラスの壺を見事に蘇らせたのです。

すべての始まり

数年にわたる実験と、厳密に記録された数え切れないほどの試行錯誤を経て、ジョサイア・ウェッジウッドは1774年に象徴的な素材ジャスパーをついに完成させました。

ジャスパーは、無釉のマットな「ビスケット仕上げ」と、粘土に顔料が練りこまれ、素地全体が色づいている特性で知られています。そのきめ細やかで滑らかな質感と驚くほどの硬さにより、芸術家やコレクターから高く評価されています。

ジョサイアは、この新しい発明を使って《バルベリーニの壺》の覆刻に挑みました。それは、彼の当時最先端の製造技術と熟練の職人技が、ローマ古代美術の最高峰を映し出せることを示すものでした。

つくり方

イギリスのバーラストン工場で、《ポートランドベース》の胴体部分はジャスパー素地を用いてろくろで成形されます。その後、余分な土を削り取り、全体のシルエットを洗練させるために旋盤加工が施されます。次に、レリーフを貼付し、さらに持ち手が加えられ、最後に窯で焼成されます。

ジャスパーは、焼成前にジャスパー素地へ加える金属酸化物の配合によって、さまざまな色合いを表現することができます。オリジナルの《バルベリーニの壺》のような青黒のカメオガラスの色を再現するため、ジョサイアは特別なジャスパー素地の配合を生み出しました。その結果、初代《ポートランドベース》を象徴するマットな黒色の仕上げが完成したのです。

ポートランドベース

小さなポートランドベースも、大型の作品と同じ高度な技法でつくられ、鮮やかなカラーで現代的なデザインを特徴としています。

イギリス製で真正性が保証されたこれらの傑作は、コンパクトなサイズであらゆる空間を洗練された雰囲気に引き立てます。

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試行錯誤
1786 - 1789

《ポートランドベース》を正確に再現するため、オリジナルから丁寧に型が取られ、装飾要素は蝋や石膏でかたどられました。白い浮き彫りの装飾は、ジョン・フラックスマンやヘンリー・ウェバーといった彫刻家たちによって、ジャスパーで忠実に再現されました。

ベースをジャスパーで再現する上で大きな課題となったのが、窯の温度を正確かつ一定に保つことでした。解決策を探るため、ジョサイアは高温の窯の温度を記録できる「パイロメーター(高温計)」を発明しましたが、焼成の過程では依然として問題が生じました。表面に気泡が出たり、レリーフ装飾が焼成中に定着しなかったりしたのです。

ベースの完成

1789年9月、ジョサイア・ウェッジウッドは、ベースを借り受けてから3年以上、数え切れないほどの実験と試行錯誤を重ねた末、ついに満足のいく《ポートランドベース》を完成させました。

翌月には、友人であるエラズマス・ダーウィンに最初の成功作を贈ることができ、1790年5月までには、すでに20件の予約注文を受けていました。

その再現度は非常に高く、のちに大英博物館でオリジナルの《バルベリーニの壺》が不慮の事故で粉々に割れてしまった際、復元の手がかりとなったのは、ジョサイアのジャスパーによる覆刻でした。

ロンドンでの
お披露目

1790年、王立協会会長サー・ジョゼフ・バンクス邸で行われた非公開の展示会において、初代《ポートランドベース》が初めて披露されました。この特別展示はあまりに人気が高かったため、入場者数を制限する必要があり、一般公開に先立ち1,900枚の入場券だけが発行されました。その後、ソーホーのギリシャ・ストリートにある店舗で一般に公開されました。

展示ののち、ジョサイア・ウェッジウッドは次のように宣言しました。

「私の最高傑作は《ポートランドベース》です。」

《ポートランドベース》、
Web3へ

2023年、《ポートランドベース》をテーマにした300点のNFTが制作されました。それらは、実際のジャスパーでは実現できない色彩や素材の組み合わせを特徴としています。

さらに、現代デジタルアーティストのクリスタ・キムは、《ポートランドベース》を再解釈したオリジナル作品《クロマティック・リフレクションズ》を発表しました。この作品は「Wedgwood in Web3」イベントの一環として、ヒンツェ・スカルプチャー・ギャラリーで初公開されました。