インスピレーション

Hitomi Hosono 陶季コレクション (5枚セット) [世界限定50セット]

 

 

 

季節の移ろいをたおやかに作品に閉じ込めた
世界基準の日本の美意識

 

土と話す陶芸家、細野仁美。大英博物館にその才能が認めらる日本人アーティストと wedgwood のコラボレーションで、日本の五季を繊細に表現したウォールアートが登場します。「季節を感じ、 移ろいを知ることはとても大事なこと。季節を感じることで、自分たちも自然の一部である ことが認識でき、幸福と充実感を得ることもできます。」と細野氏は語ります。ご自身でアレンジして飾ることができるというのが、本作品のコンセプトです。季節に合わせて一つの陶季だけを飾ったり、2つ以上の陶季を一緒に飾って季節の移ろいを彩ることもできます。ご家庭で季節をお楽しみください。

 

Hitomi Hosono 陶季コレクション (5枚セット) [世界限定50セット]
税込\550,000

 

[春] サクラソウ - 純(Jun)

ピンクのジャスパーをベースに、繊細なサクラソウが咲き乱れる春を表現しています。「純」は、純粋、初恋、希望、無邪気という意味です。

 

[初夏] 紫陽花 - 水咲(Mizusa)

水色のジャスパーをベースに、繊細な紫陽花が咲き誇る、初夏を思わせる作品。この時期は紫陽花が最も美しく咲く季節です。「水」と「さ(く)」を意味する「Mizusa」と名付けられました。

 

[夏] 蓮 - 清(Kiyoshi)

黄色のジャスパーをベースに、蓮の花が咲き誇る、夏のエッセンスを凝縮した美しい作品です。この花にある、神聖な、清らかな、澄んだという意味から、「清」という名前が付けられました。

 

[秋] 菊 - 貴(Taka)

菊の葉の色に似た淡いグリーンのジャスパーをベースに、菊の花びらが中心から無限に広がっています。その気品と象徴性から、選ばれた菊には「貴」という名前が付けられました。

 

[冬] 水仙・仙(Sen)

ライラックジャスパーをベースに、スイセンが咲き始めました。花の美しさを表現した和名は、水仙。平和で孤独な感情を反映した漢字の「仙」を選び、「Sen」と名付けました。

 

Interview to Hitomi Hosono

陶季コレクションについて、細野仁美さんにお聴きしました。

 

 

Q.ご自身のクリエーションおよびウェッジウッドとのコラボレーションでの制作において、最も大切にしていらっしゃることを教えてください。

A.時代にあったコンテンポラリーな表現を追求しつつも、自然の中の美しさを大切にし、モチーフである植物の柔らかな質感を失わない生き生きとしたものを作り上げることです。さらに、ウェッジウッドのコラボレーション「アーティスト・イン・レジデンス」では、長く続くウェッジウッドのジャスパーの良さが十分に伝わる作品作りも目指しました。

Q.コラボレーション作品のテーマに花を選ばれた理由を教えてください。

A.目まぐるしい現代生活の中で、私たちは自然豊かな環境の中で生活し、それをゆっくりと楽しむ機会が少なくなりました。そして、その楽しみ方さえも忘れかけているように思います。例えば、それぞれの花には種類によって数え切れない違った特徴があります。ただ呆然と森を歩くのでなく、しゃがんでじっくりと、時間をかけて花たちを観察すると、その独自の美しさを発見することができます。私はそんな発見の喜びが感じられる作品にしたいと思い、花をテーマにすることに決めました。

Q.ウェッジウッドの職人とのやりとりに関し、エピソードや感想を教えてください。

A.長い経験と豊富な知識を持ったウェッジウッドの職人の方々と仕事をすることは、私の人生の中で大変貴重な経験となりました。常に革新的でクリエイティブであり続けるウェッジウッドの理由が肌で感じられた経験でした。私が理想とする作品を制作するに当たり、幾度か技術的に難しい壁にぶつかりましたが、その度に職人の方々は共に知恵を絞って下さり、アイデアを諦めることなく、クリエイティブに問題を解決していくことができました。私が特に感嘆したのは、新しい作品を生産可能とするための彼らの柔軟な創造力です。一つの工程が上手くいかないと、それを可能にするため、今まで見たこともなかった新しい陶芸の道具まで作り出すところなど、さすがだと思いました。ジョサイア・ウェッジウッド自身も、ジャスパーを完璧な熱量で焼き上げるためにパイロメーターと呼ばれる窯の温度を測る道具を発明しましたが、完璧なものを作るために、そのための道具をも発明する努力を惜しまないところは素晴らしいと感じました。
私はロンドンのスタジオで自分の作品制作をするとき、一人であることが多いですが、ウェッジウッドの工場で職人の方々とデザイナーの方々と共にコレクションを作り上げていく日々は、チームワークとは素晴らしいと思える経験でした。

Q.ウェッジウッドでは、ジャスパーの素材、技法を使って作品を制作していらっしゃいます。ご自身のクリエーションとの違いや難しかった部分、魅力的だった部分などを教えてください。

A.私は普段、ポーセレイン(磁土)を使い、自身の作品を制作しています。ポーセレインの扱いには慣れていますが、ウェッジウッドで使うジャスパーはそれとは違う独特の質があり、慣れるまでには少し時間がかかりました。例えばジャスパーは石膏型の大変細かいディテールをしっかりと取ることができ、また焼きあがると優しく柔らかな質感を生み出してくれるとても美しい素材(粘土)ですが、その分、焼成前の状態の時には柔軟性がポーセレインより少なく、本体にジャスパーのレリーフを貼り付けていく際に、その形に沿って曲げようとするとき、無理を少しでも与えると割れたり壊れたりしてしまうので、曲げられる限界を知り、デザインを考えていく必要がありました。

Q.ウェッジウッドには260年を越える歴史と、その中で受け継がれてきた作品のアーカイブがあります。コラボレーションの工程で刺激を受けたことや興味深かったことを教えてください。

A.工場内でまず私が一番心惹かれた場所、それはレリーフ(スプリッグ)の型が保管されているアーカイブ室です。膨大な数の、260年間、これまでと、そして今でも使われている型がぎっしりと棚の木製の引き出しに収められていて、その引き出しを一つ一つ引くと、まるでおとぎの物語が溢れ出てくるようでした。長い時をかけ、積み重ねられてきたウェッジウッドの歴史の重みを感じられる場所でありました。また、工場に隣接するウェッジウッド美術館では、ジョサイア・ウェッジウッドが完璧なジャスパーを作り出すために行った、数限り無いテストピースを見ることができました。途中、制作でつまずいても、彼のように粘り強く頑張ろうと励まされました。
また、ウェッジウッドは260年前という昔に、ジョサイアによって作られたブランドですが、その真髄は全く変わることなく息づいてると感じられることがよくありました。それは同じことをずっとやり続けているという意味ではありません。ジョサイア・ウェッジウッドはその時の時代と人にあった品を作り上げるために多大なる努力をしましたが、その時代を読み、進化し続けていくという姿勢、チャレンジ精神が全ての職人とデザイナーに受け継がれ続けていると思いました。
私はこのコレクションを作るにあたり、はじめ百に近い新しい商品のアイデアを出し、それぞれをジャスパーで作り、可能かどうか、また実際にどんな感じになるのか確かめてみたい、と申し出ました。職人さんは経験が豊富であるから、アイデアを見れば、即、難しいかどうか推測できたであろうと思います。しかし、挑戦しよう!という息で、そのための材料や道具、ジャスパーのボディーやスプリッグをたくさん用意してくださり、テクニカルなサポートもしっかりとしてくださいました。

Q,新作の「陶季コレクション」は、四季ではなく「五季」となっています。五季というテーマをウェッジウッドから聴かれた時、どのように感じられましたか?

A,季節は4つと私たちは普通に考えます。しかしながら、日本の夏は長く、気温も天候も、二つの季節に分けてもいいくらいです。ですので、より日本の季節を忠実に見て、その違いを今回のコレクションで表現することは自然とできました。初夏には初夏の、晩夏には晩夏の花があります。夏の始まりに咲く紫陽花は梅雨のしっとりとしたイメージを強く感じさせる植物であり、見るだけで初夏の到来を感じさせてくれる美しい花です。また、晩夏に咲く蓮は、夏の終わり、暑さが落ち着いていく様子を象徴する植物であると思います。

Q.ロンドンをベースにご活躍されていらっしゃる細野様ですが、日本の四季(五季)をどのように捉えていらっしゃいますか。

A.私は日本の季節の移り変わりが大好きです。それぞれの季節がはっきりとしていて、自然を通して時の流れを感じることができます。桜のつぼみが膨らみ出せば春の訪れを、山の葉が赤や黄色く色づけば秋の訪れを感じることができます。
季節を感じ、移ろいを知ることは人間としてとても大事なことだと思います。季節を感じることで、自分たちも自然の一部であることが認識でき、幸福と充実感を得ることもできます。散歩をした時に木々の葉の色の変化を見たり、布団から朝出た時に寒さを感じたり、季節の野菜を食べたり、様々な場面で私たちは季節を感じ取ることができますが、季節がはっきりしている日本であっても、多忙な現代生活におわれ、そういったことが少なくなってきているように思います。

Q.今回の「五季」を、どのように楽しんでいただきたいとお考えでしょうか。

A.小さな季節たちをお客様自身がアレンジして自宅に飾ることができる作品、というのが今回のコレクションのコンセプトです。その時の季節に合わせて、一つの陶季だけを飾ったり、2つの陶季を一緒に飾り、季節の移ろいを感じられるように飾ったり、3つの陶季を並べて飾り、過去、現在、未来というような感じで飾ることもできます。もちろん全ての陶季を一手に飾り、一年丸かじりに季節を楽しむこともできます。
一つ一つの陶季の形は丸く、まるで双眼鏡のレンズを覗きこみ、花たちを発見したかのようなイメージでデザインしました。日本の童話には「小さい秋みつけた」という歌があります。その歌詞のように、季節を発見するような感覚で楽しんでもらえたらとても嬉しいです。散歩している時に偶然発見した花たちをじっくり観察するように、一つ一つの花のスプリッグの繊細な美しさを楽しんでいただけたら、と願っています。
コレクションの第一弾と変わらず、花たちが咲きたいように、咲きたいところに咲いているデザインには変わりはありません。花たちが野原にのびのびと、時には重なり合い、群から離れたりもして、自由に咲いている様子を大切に作り上げました。

 

細野仁美氏プロフィール

 

 

1978年岐阜県生まれ。
金沢美術工芸大学卒業。イギリスを拠点に活躍する陶芸家。イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートにて修士の勉強をする傍ら、ウェッジウッドの工場でインターンをしていた経歴を持つ。葉や花を模した非常に繊細で躍動感あふれる作品を得意とする。彼女の作品は、大英博物館やヴィクトリア&アルバートなどでパーマネントコレクションとして展示されている。