フロレンティーン柄がウェッジウッド史に登場したのは、1874年のことです。詳細は記録に残っていませんが、この模様の起源は、イタリアのマルケ州ウルビーノのイタリアン・マジョリカにあると考えられています。最初に製造されたのは、陶磁器素材であるクイーンズウェアを使った器でした。その後、1878 年からファイン ボーン チャイナの食器に応用されるようになりました。フロレンティーン柄に描かれた神話上の生き物を特定するのは難しいのですが、翼と頭の羽毛があるフェニックス(不死鳥)、グリフィンおよびイルカだと思われます。フェニックスは、太陽の力と結びついていて、500 年ごとに生まれ変わり、灰の中から蘇り、強さと再生を象徴します。グリフィンは、エジプトやペルシャの彫刻に見られ、力強く雄大な生き物と考えられています。宝物や財産を守ることで知られ、神の力の象徴でもあります。イルカはその知性と優雅さで知られており、ギリシャ神話ではイルカもまた、再生の象徴と考えられています。「フロレンティーン」は、ダークブルー、ホワイト&ゴールド、ターコイズ色の復刻など、さまざまなカラーバリエーションで展開されてきました。
オリジナルのデザインは、アーティスト兼デザイナーのヴィクター スケラーン(Victor Skellern 1909 - 1966)によって 1935 年にブラッシュアップされました。その後、ブラック&ゴールドのフロレンティーンが 1959 年にコレクションに導入されました。フロレンティーンは、ウェッジウッドが誇る「高い表現力」という強みを完璧に体現しています。透き通るようなファインボーンチャイナの透明感を背景に、複雑なデザインモチーフをあしらった、視覚的に豊かでカラフルなデザインです。鷲の頭とライオンの尾を持つグリフィンが咆哮し、想像を掻き立てる植物が配置され、ファンタジーに満ちています。150年を経ても、古さを感じさせない、ウェッジウッドそのものと言えるでしょう。